@phdthesis{oai:shinshu.repo.nii.ac.jp:00046163, author = {丸山, 歩美 and Maruyama, Ayumi}, month = {2021-05-17}, note = {目的口唇は様々な口腔機能を営む中で顎顔面領域において重要な組織で,このうち口唇閉鎖機能は咀嚼,嚥下,発音,表情による感情の表出に重要な役割を担っている.不正咬合者と口唇閉鎖力の関連は,様々な研究で示されている.しかし,これまでの研究は最大口唇閉鎖力が検討され,日常使用されている随意的な口唇機能力については不明な点が多い.Miyamotoらは,新しい口唇の機能評価方法として,多方位口唇閉鎖力測定装置を用いて,ビジュアルフィードバックによる口唇閉鎖の調節能力を方向別に評価できるシステムを構築し,成人男性が成人女性に比べて口唇閉鎖調節能力が高いことを報告していた.さらに土屋は健常高齢男性の口唇閉鎖調節能力が健常成人男性に比べて有意に劣っていることを明らかにした.このように,個性正常咬合者の口唇閉鎖調節能力については検討されてきた.しかし,不正咬合者の口唇閉鎖調節能力については明らかにされていない.そこで本研究では,個性正常咬合者と骨格性下顎前突者の口唇閉鎖調節能力を比較し,骨格性下顎前突者の口唇の調整能力を明らかにすることとした.2方法2017年4月から2019年12月に松本歯科大学病院矯正歯科に来院し,外科的矯正治療の適応を診断された骨格性下顎前突者 41名から,本研究の被験者の条件に適合した骨格性下顎前突者15名(女性,平均年齢20.0±6.2歳)とした(下顎前突群).除外基準は,オーバーバイトマイナス,矯正治療の経験があるもの,歯数の過不足(智歯を除く),先天異常を有する者とした.対象として,前歯部被蓋でオーバージェットがプラスを示す個性正常咬合者15名(女性,22.7±3.3歳)を松本歯科大学病院のスタッフから募った(正常咬合群)次に,口唇閉鎖力の測定には多方位口唇閉鎖力測定装置を用いてまた,被験者自身の発揮する口唇閉鎖力の大きさを多方位口唇力測定装置に視覚的に見ることができるようビジュアルフィードバック用のサブディスプレイを用いた.最初に,最大口唇閉鎖力の測定を上下2方向と斜め4方向(左上方向,左下方,向右上方向,右下方向)の 6方向それぞれを測定した.次に,口唇閉鎖調節能力の測定としてディスプレイ上に最大口唇閉鎖力の50%の値を目標として表示し,自らの発揮する口唇閉鎖力を目標に一致するように調節することを指示した.この際,被験者にはサブディスプレイ上に表示された目標6 秒間維持することを指示し,その測定を連続で 3回行い,正確率を算出した.正確率の算出に際して,目標値から± 8%(一定)の範囲に入った時間の割合を正確率として口唇閉鎖調節能力を表した.2結果及び考察本研究の下顎前突群は,正常咬合群と比較して,SNAが79.9°と有意に小さく,Gonial angleが127.0°と有意に大きい値を示した.歯系に関しては,FMIAが67.7°と優位に大きく,IMPAが87.7°と優位に小さく,Inter incisalは126.0°と優位に大きかった.このことから,下顎骨の顎角部が開いた上顎骨劣成長の骨格性下顎前で,FMIAが有意に大きく,IMPAが有意に小さいことから,下顎前歯の代償性の舌側傾斜がみられた.下顎前突群と正常咬合群の最大口唇閉鎖力の比較では, 下顎前突群と正常咬合群の最大口唇閉鎖力の比較では,6方向で有意差は認められなかった.下顎前突群と正常咬合群は両群ともに,方向の違いによる有意な相違が認められた.すなわち,両群ともに上方向は左上方向,右上方向,左下方向,右下方向に比べて有意に大きく,下方向は左上方向,右上方向,左下方向,右下方向よりも有意に大きい値を示した.これらのことから,下顎前突群と正常咬合群の最大口唇閉鎖力は,上下方向が斜め4方向に比べて有意に大きい値を示し,方向による特異性が認められた.下顎前突群と正常咬合群の口唇閉鎖調節能力の結果では、下顎前突群と正常咬合群の正確率は,両群ともに上方向と下方向で大きい正確率を示した.また,正常咬合群では,6方向全てで60%以上の正確率を示し,下顎前突者では,6方向全てで60%より小さい正確率を示した.下顎前突群と正常咬合群の口唇閉鎖調節能力の比較では,6方向全てで下顎前突群が有意に小さい正確率を示した.下顎前突群と正常咬合群,それぞれの6方向別の正確率の比較ではともに有意差がみられた.下顎前突群では,上方向が右下方向,左下方向に比べて有意に高い正確率を示した.正常咬合群では,上方向は左下方向よりも有意に高い正確率を示し,下方向は左上方向に比べ有意に高い正確率を示した.本研究結果より,下顎前突群では,口唇閉鎖調節能力が6方向全てで低い正確率を示した. 口唇閉鎖の調節能力が外科的矯正治療により,正常者と同等になるかは不明であるが,今後,治療前と治療後で比較を行い,口唇閉鎖の調整能力を数値として評価することにより,形態改善後の機能的評価を行いたいと考えている., 2020, application/pdf, 甲第237号}, school = {松本歯科大学}, title = {骨格性下顎前突者の口唇閉鎖調節能力}, year = {} }