@phdthesis{oai:shinshu.repo.nii.ac.jp:00046162, author = {印南, 稔 and Innami, Minoru}, month = {2021-05-17}, note = {[背景と目的]超高齢社会を迎えた我が国は、医療費および社会保障費の増加が著しい問題になっている。それと同時に認知症患者数も年々増加し、2025 年には 700 万人に達し、 介護や看護をする側の負担が非常に大きくなると予想される。一方で、口腔機能 が全身の健康維持に関与しており、脳を活性化させることが報告されてから、歯 数の維持が重要視され、現在歯数が多いほど脳機能は低下しにくいことが明確に された。従って、高齢者の認知機能を維持するためにも、適切な口腔機能の保持 が重要であると考えられる。しかし、認知機能に対する口腔機能訓練の効果に関 しては未だ不明な点が多い。そこで、口腔機能と認知機能の関連性を明らかにし、さらに口腔機能の1つである舌口唇運動の機能訓練が認知機能に与える影響を調 べた。【対象と方法】 研究対象者 100 名(65-100 歳)に①口腔内検査(現在歯数、義歯の使用の有無)、 ②認知機能検査(Mini-Mental State Examination:MMSE)、③咬合力検査(オク ルーザー)、④咀嚼機能検査(キシリトール咀嚼チェックガム:5 段階評価)、⑤ 舌口唇運動機能検査(オーラルディアドコキネシス:ODK)を実施し、認知機能と 口腔機能の関連を Spearman の順位相関係数を用いた単相関と重回帰分析で調べ た。MMSE は、正常、軽度認知障害、軽度認知症、中等度認知症、重度認知症の5 段階で評価した。ODK は、1秒間に発音できた「パ」「タ」「カ」の 3 語の平均回 数を健口くんⓇ(Takei, Co, Japan)を使用して算出した。さらに、MMSE の判定 から正常者(non-impairment group:N 群)5 名、それ以外から(impairment group: I 群)10 名を選び、舌口唇運動機能訓練(食前にパ、タ、カの各語の連呼(5 秒 間)を 3 回)を 15 ヶ月間実施させた。訓練開始から 3 カ月毎 15 ヶ月まで②-⑤ を行い、訓練前と訓練後を Friedman 検定と Dunnett-T3 test(等分散でない場合 も使用可能)を用いて比較検討し、訓練が認知機能に与える影響を調べた。 【結果】 初回の MMSE の判定では、正常:33 名、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI):25 名、軽度認知症:11 名、中等度認知症:27 名、重度認知症:4 名であっ た。MMSE の点数との関連を調べるために最初に行った単相関においては、MMSE と年齢、現在歯数、咀嚼機能、ODK との間に相関関係が認められた。さらに、年 齢と現在歯数、咀嚼機能、ODK、現在歯数と咬合力、咀嚼機能、ODK、咬合力と咀 嚼機能、ODK、咀嚼機能と ODK の間に相関が認められた。MMSE を従属変数とした 重回帰分析から、MMSE は年齢、ODK の順に関連があった。N 群の中の 2 名の 3、6 ヵ月後の MMSE の点数は、MCI に該当する点数であったが、訓練 9 ヶ月以降は正常 範囲を維持した。I 群の 10 名のうち 2 名が入院したため、15 ヶ月の経過を追えた3 のは 8 名であった。この 8 名の訓練開始後 15ヶ月の MMSE の点数は、訓練前と訓 練開始後 3 ヶ月に比較して有意に上昇した。咬合力は両群において各測定時での 有意差は認められなかった。咀嚼機能において、N 群での訓練開始 15 ヶ月後は訓 練前より有意に高値を示した。I 群では、各測定時に有意差は認められなかった。 ODK において、N 群の訓練開始後 15 ヶ月は訓練前や訓練開始後 3 ヶ月よりも有意 に上昇した。I 群では、訓練開始9ヶ月以降の ODK は、訓練前に比較して有意に 上昇した。また、訓練開始 15 ヶ月後の ODK は、3,6 ヶ月後より上昇した。【結論】 MMSE の点数は、年齢、現在歯数、咀嚼機能、ODK と相関が認められ、年齢、ODK の順に関連が認められた。これらの結果から、加齢とともに認知機能は低下し、 舌口唇機能も衰えると考えられた。また、初回の MMSE で認知機能に低下があると 判定された全員の認知機能は、舌口唇運動機能訓練 15 ヵ月後に改善された。さら に、訓練の継続で ODK も増加した。しかしながら、咬合力と咀嚼機能には変化が 認められなかったため、咬合力と咀嚼力を向上させるには、別の訓練が必要だと 考えられた。今回の研究で、高齢者の認知機能は一定ではなく、環境や身体の状 態に左右されることもわかった。舌口唇運動機訓練を継続する事により、舌筋や 口輪筋が鍛えられ口腔の動きも円滑となり、そこからの感覚や運動刺激が脳に伝 えられることで、認知機能が改善したと示唆された。, 2020, application/pdf, 甲第236号}, school = {松本歯科大学}, title = {The relationship between oral function and cognitive function-Effect of tongue and lip motor training for cognitive function in elderly people-}, year = {} }