@phdthesis{oai:shinshu.repo.nii.ac.jp:00045826, author = {Ikono, Radyum and Ikono, Radyum}, month = {}, note = {要旨[目的]キトサンはティッシュエンジニアリング用の担体として広く用いられているが、再生用の担体として適しているとはいえない。特に、機械的強度が十分ではないことや、骨分化誘導能を有さない点が課題であった。本研究ではキトサンに骨分化誘導能を有するTiO2のナノ粒子を加えることにより、骨再生用の担体としての有用性を検討した。〔材料と方法〕キトサン-TiO2ナノ粒子含有スポンジ担体の作製は、1gのキトサンパウダー(Sigma aldrich)とナノTiO2粒子(Degussa)を1 %(v/v)CH3COOH(Merck)中に溶解し、これとNaOH水溶液とを混合、攪拌し、その沈殿物として回収した。ナノTiO2粒子の含有量は、0%, 12.5%, 25%, 50%の4種類とした。沈殿物は96wellplate中で凍結乾燥させ、その後2回洗浄して使用した。担体の形態は走査型電子顕微鏡(FEI Quanta 650)を用いて観察した。次に結晶構造をX線回折(XRD,RIGAKU,RINT 2100/PC) にて解析した。また、この担体をsimulated body fluid(SBF) 溶液中に浸漬し、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)を用いて溶出物の測定を行った。次に3週齢雄C57BL/6Jマウスの脛骨、大腿骨より細胞を採取し、密度勾配遠心法にて単核球分画を分取した。培養によって得られた2継代目の間葉系幹細胞を実験に使用した。担体を紫外線にて30分滅菌後、1x104/cm2の間葉系幹細胞を播種した。その後分化誘導培地へ交換し、骨分化の程度を比較するためosteocalcin (OCN)dentin matrix protein 1(DMP1)の遺伝子発現を定量的RT-PCRにて測定した。担体への接着細胞数はWST-8を用いて測定した。中性ホルマリンで固定後0.2%crystal violetにて染色し、実体顕微鏡下で接着細胞の観察を行った。〔結果〕形態学的および結晶解析の結果から、得られたキトサンスポンジは、多孔質の連通孔 を持つ構造で、ティッシュエンジニアリングに適した形状であった。TiO2の結晶構造はアナターゼ型であり、キトサンスポンジ表面に均等に分布していた。分解度試験では、TiO2ナノ粒子を添加されていないキトサンスポンジが7日で崩壊したのに対し、すべての添加群では2週間形態が維持されていた。溶出物のFTIRによる解析では、TiO2ナノ粒子添加群ではPO43- のバンドが認められたが、これはスポンジ表層にハイドロキシアパタイトが形成されたことを表している。間葉系幹細胞をこの担体に播種後骨分化誘導を行い、骨分化マーカーであるOCNとDMP1の発現を解析した。OCN、DMP1の発現は、TiO2ナノ粒子の含有量が50%の群において、TiO2ナノ粒子を含まない担体の2倍程度に増加していた。また、TiO2ナノ粒子の含有量が上昇するにつれて接着細胞数が増加し、その結果はcrystal violetによる染色でも確認された。〔考察〕本研究では、キトサンスポンジの機械的性質の改善と骨分化誘導能を期待して、TiO2ナノ粒子を添加することで新たな担体を作製した。作製された担体において、TiO2ナノ粒子は表層に均一に分布していたが、これが担体の物性向上に貢献していると考えられた。キトサンスポンジ担体を骨再生に用いる場合の問題点は、分解速度の速さであった。本研究の結果からは、12.5%以上のTiO2ナノ粒子を加えることで分解速度を7日間から14日以上と改善された。SBFに浸漬したバイオミネラライゼーション評価では、キトサン-TiO2ナノ粒子含有スポンジ担体のみでハイドロキシアパタイトの沈着が認められたことから、TiO2ナノ粒子の添加が石灰化を促進する可能性が示唆された。間葉系幹細胞を用いたin vitro骨分化誘導実験の結果では、50%TiO2ナノ顆粒添加群ではOCNとDMP1の発現が上昇したことから、骨分化を促進することが明らかとなった。TiO2は骨分化を促進することが知られており、50%添加群での骨分化の促進は、TiO2の骨分化誘導促進作用と担体の強度の向上によるものと考えられた。一方、25%までのTiO2ナノ粒子添加群ではOCNとDMP1の発現は不変または減少した。TiO2の効果には一定の濃度が必要なことが知られている。また、今回滅菌に用いた紫外線はキトサン担体を分解するため、比較的物理的強度に劣る25%までのTiO2ナノ顆粒添加群では、分化誘導期間中に担体の強度が低下し、細胞の安定が得られなかったことが一因と考えられた。本研究の結果から、新たに作製されたキトサン-TiO2ナノ粒子スポンジ担体は、適切なTiO2ナノ粒子の含有率を選択することで、骨再生用の担体として有用である可能性が示された。, 2020, application/pdf, 乙第34号}, school = {松本歯科大学}, title = {Enhanced bone regeneration capability of chitosan sponge coated with TiO2 nanoparticles.}, year = {2019} }