@phdthesis{oai:shinshu.repo.nii.ac.jp:00045445, author = {趙, 麗娟 and Zhao, Lijuan}, month = {2020-05-08}, note = {歯科治療のために窩洞を形成した歯の髄腔側では,象牙芽細胞による石灰化が亢進する.以上は,失われた硬組織を補填する生体防御反応であり,臨床現場では,より早期の修復象牙質形成が求められる.この過程において,窩洞形成にともない象牙芽細胞の細胞死が誘導され,新生象牙芽細胞の出現が観察される.しかしながら,象牙芽細胞死と修復象牙質の形成との関係は良く分っていない.今回我々は,遺伝子改変マウスを用いて,ジフテリア毒素(DT)投与により象牙芽細胞を特異的に死滅させる実験系を構築した.この実験系を用いて,修復象牙質の形成に対する象牙芽細胞死の重要性を調べることを目的とした.Ⅰ 型コラーゲンのプロモーター[Col1(2.3)]の制御下でGFPを発現するマウスの上顎の第一臼歯を回収した.凍結切片を作製し,共焦点レーザー顕微鏡で観察した.その結果,象牙芽細胞にGFPの発現が特異的に観察された.したがって,歯髄組織において,Col1(2.3)は象牙芽細胞特異的なマーカーであることが示された.そこでCol1(2.3)-Cre/flox-stop-flox-ジフテリア毒素受容体(DTR)マウスを作製した.Col1(2.3)-Cre/DTRマウスにDTを投与すると,象牙芽細胞が組織特異的に死滅することを確認した.次にCol1(2.3)-GFP/Col1(2.3)- Cre/DTRマウスを用いて,象牙芽細胞の枯渇後の再生象牙芽細胞の出現の有無を観察した.その結果,枯渇した象牙芽細胞は,時間依存的に再生することが明らかになった.次に,象牙芽細胞枯渇後の修復象牙質の形成を,カルセイン標識により観察した.その結果,象牙芽細胞を枯渇した条件下でのみ,象牙質へのカルセインの取り込みが認められた.さらに,micro-CTによる解析結果から,象牙芽細胞の枯渇後に硬組織体積が増えることが示された.以上より,象牙芽細胞の枯渇が新生象牙質形成を誘導することが明らかになった.次に,象牙芽細胞の枯渇後に歯髄組織で活性化されるシグナル伝達経路を解析した.その結果,象牙芽細胞の枯渇後に,副甲状腺ホルモン(PTH: parathyroid hormone)/PTH関連蛋白質(PTHrP: PTH-related protein)受容体の発現上昇が歯髄組織で確認された.象牙芽細胞の枯渇条件下では,PTH/PTHrP受容体を介して活性化されるPKA(protein kinase A)の下流シグナル分子であるCREB(cAMP responsive element binding protein)のリン酸化の上昇も認められた.さらに,PTH(1-34)のマウスへの投与は,象牙芽細胞の枯渇にともなう新生象牙質の形成を促進した.以上の所見より,象牙芽細胞死が歯髄環境に作用して,(1)歯髄間葉系細胞のPTH/PTHrP受容体/PKA経路を活性化する結果,象牙芽細胞への分化が亢進すること,(2)それに引き続き新生象牙質の形成を誘導することが示唆された.すなわち象牙芽細胞死を引き金とした,象牙芽細胞の再生および新生象牙質の形成を調節する歯髄環境の存在が示唆された., 2019, application/pdf, 甲第218号}, school = {松本歯科大学}, title = {象牙芽細胞の枯渇は象牙芽細胞分化と象牙質形成を誘導する}, year = {} }