@article{oai:shinshu.repo.nii.ac.jp:00023582, author = {土井, 和弘 and DOI, KAZUHIRO}, issue = {2}, journal = {松本歯学, Journal of the Matsumoto Dental University Society}, month = {Dec}, note = {要旨[目的]インプラント治療の普及に伴い,インプラント体の破折が数多く報告されるようになった。インプタント体の破折原因の一つには咬合関係を考えない不用意な埋植が挙げられるが,インプラント材料自体の強度不足も大きな原因である。現在インプラント材料としてはJIS第4 種純チ タンが主に使用されているが,耐力は500MPa,疲労強度は250MPa程度であるのに対し,チタン,アルミニウム,バナジウムの合金であるTi–6Al– 4V合金の耐力は800MPa,疲労強度は650MPa程 度と格段に大きく,破折しないインプラント材料 として注目されている。工業界ではTi–6Al–4V合 金の材質の向上を得るためには968℃で60分加熱し,溶体化処理を行い,ついで538℃で4時間加熱することが指示されている。大気中で加熱することは材料の酸化を誘発するために,これを回避 するにはガス雰囲気中での処理が必要になってくる。しかし,ガス雰囲気での熱処理には高額な装置を必要とする。したがって,大気雰囲気中での酸化を軽減するために加熱温度をできるだけ低くして,短時間での処理を検討する必要がある。Ti–6Al–4V合金は,500℃付近において変態が生じる。したがって,この温度を利用し,インプ ラント材料に,より適した材質に改良できる可能性がある。そこで,Ti–6Al–4V合金を450℃,500℃,550℃,600℃,650℃で加熱処理を行い,引張強さ,耐力,伸び,硬さ,金属組織について検討し,さらにX線回折により析出物についての検討を行った。[材料ならびに方法]実験には,Ti–6Al–4V合金(大同特殊鋼)直径5mm,長さ100mmを用い,以下の項目について検討した。1)変態温度の測定:加熱速度0.3℃/minの条件で1000℃までの熱膨張。2)熱処理:450℃,500℃,550℃,650℃,1時間500℃,0.5,1.0,1.5, 2 時間。3)引張強試験:引張り速度0.5mm/min,引張 強さ,耐力,伸びの測定。1.硬試験:試験片横断面の端から0.1mm,中間部の1.25mmと中心部のビッカース硬さ測定。2.金属成分の面分析:試験片横断面の中間部位,XMA(JEOL)使用。3.組織観察:試験片横断面の端,中間部,中心部,レーザー顕微鏡(オリンパス)使用。4.破断面の観察:引張試験後の破断面の観 察,電子顕微鏡(JEOL)使用。5.X線回折:直径8mmの棒材を厚さ1mmの板に流水下で削り出し,X回折装置 (JEOL)使用。[結果および考察]1.熱膨張試験より450℃から650℃の間に変態温 度が存在することが判明した。2.工業界の熱処理条件で処理したTi–6Al–4V合 金の引張強さは,処理前と比較して約12.7%増加,耐力は22%増加,硬さは46%増加したが,伸びは74%減少した。3.低温で熱処理した試験片の引張り強さは 500℃で処理した場合,処理前と比較して9.4% の増加で,最大であった。耐力は500℃と550℃ はほとんど差がなく約24%の増加であった。硬さも500℃と550℃が約8.4%の増加であった。500℃の伸びの減少は,わずか11.3%であった。4.最も効果のあった500℃における加熱時間の影響は,60分加熱した試験片が引張り強さ,耐力,伸びにおいて,わずかに優れていた。5.X線回折の結果から,熱処理の効果はTi3Al規則格子の析出と,軟質なβ相の増大との兼ね合いによるものと考えられた。6.以上の結果から,Ti–6Al–4V合金を500℃で 60分加熱することにより,インプラント材料に適した性質を付与することができるものと考えられた。, application/pdf}, pages = {117--132}, title = {インプラント材としてのTi–6Al–4V 合金の変態温度と機械的性質の関係}, volume = {40}, year = {2014} }